ロノからの贈り物 | 愛しいカンケイ
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ロノからの贈り物

【2009.10.30 Friday 08:03

 「ロノが見えるね」

車を走らせていると娘がそう言いました。
マウイ島の東の山、ハレアカラの裾野に雨雲がかかり、
雨を降っているのが見えたのです。

ロノとは、マカヒキの季節にやってくる神様のこと。

マカヒキとは10月の半ばごろから、2月の半ばまで、
つまり収穫の季節から、次の耕作のはじまりまでの期間です。

このマカヒキの季節、海の向こうからやってくる
ロノという神様が、雨雲を連れてきて雨を降らせるため、
ハワイは雨季になります。



私はこの時期が大好き。
雨が降り、島全体の緑が鬱蒼としはじめ、
島の鼓動が聞こえるというか……、
植物がぐんと育つ肌ざわりがするというか……、
懐に抱かれているような気分になるのです。

昔のハワイの人々にとって、マカヒキの季節は、
主食であるタロイモを中心に、ウアラ(スイート・ポテト)、
ウル(ブレッド・フルーツ)、豚、魚、
タパという布などをホオクプ(捧げ物)として神様に捧げたり、
酋長にそれらを税として納める季節でもありました。


マカヒキのセレモニーで捧げるホオクプを持つ子どもたち

そして、ロノは平和を象徴する神様でもあり、
この期間は、争いごとは禁止、
そのかわりに、踊りや武術などを競い、腕を磨いていたとか。

ですから、いまでも、マカヒキの季節には、
フラの競技会が開催されたり、アロハ・フェスティバルとして、
ハワイ全島で様々な文化的な催事が行われています。

11月13日、14日に行われるマウイ島のフラ・コンペティション、
フラ・オ・ナー・ケイキもその一環、
フラ・オ・ナー・ケイキ、つまり子どものためのフラの競技会です。

私のフラ・ハーラウ(フラとフラにまつわる伝統を学ぶ場所)、
カノエアウ・ダンス・アカデミーの、
日本の姉妹フラ・ハーラウのダンサーが出場するのです。

カノエアウ・ダンス・アカデミーのクム・フラ(フラを教える先生)、
アンティ・ケアラが、私のハーナイ・ママであったことは
お話したかと思いますが、私にはジュンコ・ママという
もう一人のハーナイ・ママがいます。

ハーナイとは、ハワイに現在も残る養子の習慣。
つまり、私には生みの親とは別に、育ての親である、
ハーナイ・ママが二人。

私を通じて姉妹になったアンティ・ケアラとジュンコ・ママ、
そして、二人のフラ・ハーラウは姉妹になったのです。

日本の東京都中野区にあるジュンコ・ママのハーラウ、
「ナー・プア・リコ・ヴァイ・ホオラ」から、
今回の競技会に出場するのは、11歳の寺山晴乃ちゃん。

このフラ・オ・ナー・ケイキというコンペティションは、
今年に19回目、5歳から12歳までの部門と、
13歳から17歳の部門に別れ、男女両方が参加可能、
カヒコという古典のスタイルと、
アウアナという現代的なスタイルの両方を踊り、
課題曲のリサーチをまとめた書類と面接で総合得点を競います。


    Master Hula O Na Keiki 1995
James Michael Ke'alaolaule'a Broclic Kukona-Pacheco


踊りは、技術や表現のほかに、衣装やレイ、
特にカヒコでは、オリといわれる詠唱も重要視されます。
衣装やレイはほとんど手作りで制作され、
どうしてそのような衣装を作るに至ったのかという理由から、
レイの制作技術までが、ハワイ全島から集まった
9人の審査員によって審査されるのです。

そして、その年のマスター・フラ・オ・ナー・ケイキ、
ミス・フラ・オ・ナー・ケイキを選出するわけですが、
カノエアウ・ダンス・アカデミーは
11人のマスター&ミス・フラ・オ・ナー・ケイキを
輩出している歴史があります。

うれしいことです。
よいことです。

その11人にアンティ・ケアラはいつもこう言っていました。

「入賞なんて全く大事じゃない。
あなたたちが、それを誉められたときに
『ありがとうございます』って頭を下げられるかが大事」

コンペティションという競いを良しとするかどうか、
考えはいろいろあると想いますが、
アンティ・ケアラの言いつけを聞いていなかった
11人のうちの数人は、数時間、外でバケツもって立っているか、
アンティ・ケアラがフライパンもって追いかけていましたから、
全部をひっくるめて、子どもたちにとってとても有意義な
学びの機会だと、私は思っています。


Miss Hula O Na Keiki 1996
Cialyn Thara Kawahineikuliaikaui
Broclic Kukona-Pacheco Brehm


そもそも、コンペティションのとき、競わないといけない相手は、
他のダンサーではありません。
競わないといけない相手は自分自身ですから。

今回、果敢に挑戦をすることを選んだ晴乃ちゃんのために、
二つのハーラウのクムと彼女の両親、
数十人のハーラウのメンバー、
そしてその家族、友人が晴乃ちゃんを支えてきました。

まず、大人たちが必死にならなければ、
子どもは必死になりません。

晴乃ちゃんは、必死になれる素敵な大人たちに恵まれた、
とても恵まれた子どもだと思います。

私がエッセイに、晴乃ちゃんがこのコンペティションに
参加するための経費をつくらなくてはいけないので
ファンド・レイジングをしているとを書いたことや
日本にいる友人に送ったお願いのメールを読んで、
「買うよ」と、気軽に応じてくれた友人、
メールを読んで気にかけてくださった友人に心から感謝します。

ジュンコ・ママは晴乃ちゃんを連れて、
11月6日にマウイに到着します。
いまは、まだ、日本とマウイで慌しく準備が続いていますが、
11月6日からコンペティションまでは毎日練習です。

練習で流れた汗と涙と、みなさんの想いは、絶対に形になります。

本当にどうもありがとう。

*****

『愛しいカンケイ』では、コンペティションに至る模様を
引き続き、実況しようと思っています。
どうぞ、お楽しみに!

***

JFM・ジャパンFMネットワーク『ワールドフラワーネットワーク』
(FM青森・秋田・福島・福井・岐阜・三重・山陰・岡山・広島)
11月4日水曜日午後4時から5分間ほど、
フラワーレポーターとして、マウイ島のことをレポートしました。
WEBラジオはこちらから!

***

グラスのファンド・レイジングは続行中ですので、
吹きガラスのワイン・グラス、タンブラーなどがほしい方は
サンプル写真を送りますので、ご一報くださいませ。

author : jingujiai
| HULA to live | comments(6) |

この記事に関するコメント
ファンド・レイジングの意味と意義が、一層よくわかりました。
大人が必死にならないと、子どもも必死にならないということ、すごくよく分かります。子どもには、大人の言葉以上に、大人の価値感が伝わってしまうんですよね。「人は大切にしようね」と言葉で言っていても、挨拶をしなかったり、差別をしたりしていると、そっちの方が伝わりますよね。
そして大切なのは入賞することではなくて、入賞をしてそれを褒められた時に「ありがとうございます」と頭を下げられることという、アンティ・ケアラの言葉、すごいと思います。私もそういう人でありたいです。
 
| 谷澤 | 2009/11/01 10:16 AM |
私、取り繕うことができるほど、大人じゃないんですよね。
だから、もうなんでもかんでも子どもには見せてます。
まだ子どもなのかも。

コンペティションに関しては、本当に信じられないほどの人たちを
巻き込んでのことになりますからね、ほら、こうして久美子さんが、
私たちのファンドレイジングのことや、コンペティションのことを
理解しようとお時間を使ってくださっていることもそうです。
だから、それを子どもにしっかりわかってもらおうと思います。

昨年は私もソロでコンペにでましたけれど、
頭は自然にさがっちゃいますよ。
そのくらい、自分ひとりではできない、
多くの人の支えがいることなんです。
支えられる経験って、大人、子どもに関わらず、
とてもいいことで、素直に受け取るべきことだと思ってます〜。

ということで、久美子さんにもお世話になります!
| 愛→久美子さん | 2009/11/02 6:37 AM |
雨季。このコメントを書かせてもらうときに一つ知ったのは、日本の梅雨は雨期と表記するのですね。

雨季は(熱帯地方)の多い季節。雨期は雨の多い時期と意味が書かれてありました。

タロイモ。実はまだ一度も実物を見たことがなく、一度食べてみたいと思っている食べ物でございます。じゃがいも、さつまいも、山芋などなど、芋と名の付くものは大好きな私でございます。

コンペティションで競う相手は他の誰でもない、自分である。これって、コンペティションだけじゃなく生きていく上で、とても大切なことだと思います。私のとっても好きな信念の一つです。

さて私は京都に住んで十年以上になりますが、今日の京都の空色は晴れてはいるがとっても寒い!。昨日から先週に比べて気温が5度以上も下がり、寒風が吹き荒れています。急な気温の変化に体調を崩す人が多発しそうな空色であります。
| 橋屋 | 2009/11/03 11:04 AM |
京都にお住まいなんですね〜、素敵〜。
でも、寒そうですね。一度仕事で二月の京都に行って、
寒くて泣けてきたことがありました。。。。。
温かいものを食べて、体に気をつけてくださいね。

コンペティションでも、なんでも、
確かに誰かと競うことではないですよね。
誰かの競っている時間は時間の無駄だと思いますもん。
だって、自分と誰かは違うんですものね。
こういう夢中になって自分と競うこと、
そういう機会があることに感謝です。

タロイモ、きっと芋好きの方には気に入っていただけるはずです。
前に日本の農協の仕事をしたときに、農協の方が、
ハワイのタロイモは日本では奄美大島の方で
ほぼ同じものが育てられていて、ミズ芋と呼ばれているらしいです。
水のなかで育つからでしょうかね。そのうちタロイモについても
じっくり書きたいと思っています。

私は京都のエビ芋、大好きですけれど!
いいですね、食べ物の話は!
| 愛→橋屋さん | 2009/11/04 3:50 AM |
今ごろはもうコンペティションも終わり、
晴乃ちゃんを始めとするみなさん、
ステキな体験をお腹に抱えている頃かな?
グラスの写真、お時間あるときに送ってくだされ。
(ごめん、うっかりしてたー)

雨のマウイにもお邪魔しなきゃね。ふふ。
最後にひとつ。
ハワイでも「バケツ持って立ってなさい!」なんだねー。
知らなかった。
| まつのり | 2009/11/10 11:40 PM |
同窓会はどうだったかーーい?

コンペが13日、14日に終わって、15日からオアフに出張、
19日に戻って、そのままアイナのNa Mele Song Competitionに直行、
なんだかバタバタだったけど、やっとキャッチアップできてきた感じ。

雨のマウイもいいぞ〜、ダンナも連れていらっしゃいやし。
グラスを売るファンドレイジングはまた次のコンペのために
続行中なので、写真、遅らせてね。ワイングラス、おすすめです〜。

バケツ持って立ってなさい! が共通なのが笑えるよね。
あと言うこと聞かない悪ガキの耳ひっぱるママとか。
私もたまーにアイナにするけど、へっへっへ。
私もやられたことあるっす。

コンペの様子、レポートするので、読んでね〜!

| 愛→まつのり | 2009/11/23 2:17 PM |
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神宮寺 愛
writer & coordinator
(J.U.One Corporation)
'ōlapa(Pā'ū O Hi'iaka)
@ Maui, Hawaii